俳誌「藍生」

月刊誌。平成2年創刊。清新で活気あふれる結社。師系・山口青邨。同人制なく全員平等。主宰選の雑詠中心。全国に勉強句会あり。

〈主宰〉黒田杏子

■10月号の誌面から

書いて書けてありがたかつた鉦叩(黒田杏子「寂聴先生とともに」

九階の窓いつぱいの大夕焼(富宇賀孝)

なつかしき香りの鰯雲浮きて(マルティーナ・ディエゴ)

性欲が明るい蔓の熱帯夜(豊里友行)

トルソーに泰山木の花の影(石川仁木)

 

シリーズ特集「戦後生まれの女性俳人」は山下知津子と毬矢まりえ。山下のエッセイは自己の関心と俳句と人生の遍歴。〈死にたれば人来て大根煮きはじむ 下村槐太〉を読んで衝撃を受け、芭蕉への関心も高まっていたことから雑誌「ミセス」の野澤節子欄に投句、野澤の『未明音』を読んで俳句のイメージを更新され、野澤に師事したという。取り組んでいる脱北者支援活動(NGO「北朝鮮難民救援基金」)についても言及がある。

 毬矢まりえのエッセイは自身と日本文化との関わりについて。「生け花論草月賞」を受賞した「生け花論」を契機として生じた三笠宮崇仁殿下との交流、一度だけ叶ったドナルド・キーンとの会話などを振り返る。