俳誌「小熊座」

月刊誌。昭和60年5月、佐藤鬼房が塩竈で創刊。師系・金子兜太・佐藤鬼房。人間風土の尊厳を思い、詩性の昂揚をめざす。

〈主宰〉高野ムツオ

■11月号の誌面から

バスタオル夢想す春夜ハンガーに(高野ムツオ)

水の神手を触れたれば秋の水(渡辺誠一郎)

山姥のため息ならむ葛の花(中村春)

口中に塩飴肌に秋の風(冨所大輔)

美少年めくや水辺の糸とんぼ(小島ノブヨシ)

電球の点きしモーテル月見草(関口渓人)
一人なら秋風に寄りかかれさう(吉沢美香)

特集は栗林浩句集『SMALL ISSUE』。著者が礼状や他誌での紹介で挙げられた句から選んだ「他選二十句」、広渡敬雄による句集評「形の大きな俳人」、「小熊座」内外の執筆者による一句鑑賞。〈わたくしを捜す放送秋の暮 浩〉〈今年また柱の増ゆる原爆忌 同〉