俳誌「小熊座」

月刊誌。昭和60年5月、佐藤鬼房が塩竈で創刊。師系・金子兜太・佐藤鬼房。人間風土の尊厳を思い、詩性の昂揚をめざす。

〈主宰〉高野ムツオ

■12月号の誌面から

呑込みの悪さ生来心太(高野ムツオ)

流星の尾に触れたるか眠られず(日下節子)

国旗掲揚金具柊挿しにけり(春日石疼)

次の世も私は私曼珠沙華(小野豊)

戻れない生家無花果熟れきつて(草野志津久)


「鬼房の秀作を読む」は〈葡萄樹下奔馬のごとき洩れ日あり〉(『鳥食』)を竹岡一郎(「天為」「街」)と関根かなが鑑賞。「馬が走る時、その全身の筋肉が調和して滑らかに艶やかに動く。この陽光も、そのような調和を以て、葡萄樹の豊かさを突き抜け、疾駆するごとく作者の眼前に現れた」(竹岡)。「「奔馬」の語彙の引力に樹下の光景が集約される」(関根)。