月刊誌。昭和8年1月、山口草堂が大阪で創刊。師系・秋桜子。いま生きて在る喜び、その実感を大事に「生きる証の俳句を」。
■11月号の誌面から
蟬の木に鳴き交じりゐる雀かな(村上鞆彦)
炎天や鉄鎖一条黒光り(寺井治)
大鍋にまづ瓶を煮る夜の秋(日野久子)
火襷は壺くらくする野分かな(津川絵理子)
猪の腸入れし袋が蘆の陰(若林哲哉)
果てしなき貨物列車や雁渡し(杉本康子)
■「俳句深耕」は延平昌弥「俳句の定型」。現代では文字として視覚的に出合う俳句は、かつては耳で知るものだったという環境の違いに触れ、意味に偏重した現代俳句の鑑賞に一石を投じる。
■新連載「花物語」の第1回は桑原規之。子ども時代にたびたびの引越を経験した筆者の古い記憶の中にある、心細いお使いの途中で見た朴の花についての随想。
■渡邉彩子の随想「私の八重桜」はいまは解体された生家にあった八重桜の話。