いきもの歳時記365日/2月21日〜24日
・春愁の尾あらば立てて歩みたし(下坂速穂)
・水中の河馬が燃えます牡丹雪(坪内稔典)
・初ひばり胸の奧処といふ言葉(細見綾子)
・右かれひ左ひらめの余寒かな(草間時彦)
いきもの歳時記365日/2月17日〜20日
・聞きとめしことまなざしに初音かな(片山由美子)
・きりもなく釣れて公魚あはれなり(根岸善雄)
・大楠に諸鳥こぞる雨水かな(木村蕪城)
・春の山らくだのごとくならびけり(室生犀星)
いきもの歳時記365日/2月13日〜16日
・春ぞ修羅巻貝の奥の奥おもひ(柳生正名)
・梅咲いて庭中に青鮫が来ている(金子兜太)
・黒山羊の崖のぼりくる春の潮(小島 健)
・喝采に海豹の芸ひとつのみ(金井文子)
いきもの歳時記365日/2月9日〜12日
・魚屋の魚寝ており春の昼(前田吐実男)
・薄氷の裏を舐めては金魚沈む(西東三鬼)
・恋猫の恋する猫で押し通す(永田耕衣)
・強さうな鳩がをりけり梅見茶屋(小野あらた)
いきもの歳時記365日/2月5日〜8日
・ててっぽうぽう山鳩は春つれてくる(酒井弘司)
・飯蛸のあはれやあれで果てるげな (小西来山)
・豹の斑の春うつくしき寒さかな(久保田万太郎)
・音楽はさよりの動きにてドアへ(原 ゆき)
いきもの歳時記365日/2月1日〜4日
・明ぼのやしら魚しろきこと一寸(松尾芭蕉)
・うら若き掌にのせてきし雪兎(山本洋子)
・けものらの耳さんかくに寒明けぬ(三橋鷹女)
・立春や徹頭徹尾黄のインコ(藤本智子)
いきもの歳時記365日/1月29日〜31日
・一月の全景として鷗二羽(塩野谷仁)
・凍蝶に指ふるるまでちかづきぬ(橋本多佳子)
・羽もなく鰭もなく春待つてをり(藤井あかり)
いきもの歳時記365日/1月25日〜28日
・馬の尻馬の尻ここは雪の国(細谷源二)
・文鳥に妻を娶らせ日脚伸ぶ(藤田直子)
・みちのくは底知れぬ国大熊生く(佐藤鬼房)
・氷下魚穴ひかりは闇をしたたらし(柚木紀子)
いきもの歳時記365日/1月21日〜24日
・方頭魚ほどの口かと聞かれをり(岡井省二)
・鶴凍てて花の如きを糞りにけり(波多野爽波)
・煮凝や鯛の目玉の真珠めく(齋藤朗笛)
・ふくろふに真紅の手毬つかれをり(加藤楸邨)
いきもの歳時記365日/1月17日〜20日
・倒・裂・破・崩・礫の街寒雀(友岡子郷)
・心臓の近く兎を眠らせる(大石雄鬼)
・蝶墜ちて大音響の結氷期(富澤赤黄男)
・求愛のくちばしを打つ雪の檻(十亀わら)