8月9日〜12日
・黙禱のしづけさ空にとりまかれ (藤木清子)
・灯を消して寝につく喜雨の音のなか (本宮哲郎)
・朝顔や濁り初めたる市の空 (杉田久女)
・秋暑く雲の奔騰なほ続く (中村与謝男)
8月5日〜8日
・炎天こそすなはち永遠の草田男忌(鍵和田秞子)
・うすものを着て雲の行くたのしさよ(細見綾子)
・なんとなく飛べそうな空今朝の秋(岸本マチ子)
・天の川わたるお多福豆一列(加藤楸邨)
8月1日〜4日
・八月の空やしづかに人並び(柿本多映)
・子を殴ちしながき一瞬天の蟬(秋元不死男)
・人々に夜空は一つ揚花火(須藤常央)
・窓広く夏の終りとなつてゐる(阪西敦子)
7月29日〜31日
・空へ消えゆく人を見てお花畑(加藤三七子)
・涼風の曲りくねつて来たりけり(小林一茶)
・をさなごと雲見てゐたる晩夏かな(押野 裕)
7月25日〜28日
・麦藁帽ひとつぐらゐは雲欲しき(大牧 広)
・西日照りいのち無惨にありにけり(石橋秀野)
・鯖鮨に雨うつくしき近江かな(皆川盤水)
・天日のふるえや空蟬のなかの洞(石牟礼道子)
7月21日〜24日
・雲の峰上手に死んでやらうかな(栗林千津)
・紅蓮天上をいま櫂の音(九鬼あきゑ)
・一天に鳥を許さぬ暑さかな(櫛部天思)
・全天の夕焼皿をあらふなり(小澤 實)
7月17日〜20日
・打ち水の潦に匂ふ空の青(竹久夢二)
・帰らざるものばかり見え夏の雨(渡辺誠一郎)
・白南風やマストにかはるがはる鳥(土肥あき子)
・天皇の白髪にこそ夏の月(宇多喜代子)
7月13日〜16日
・泣けば雨笑へばダリヤをどりくる(岩田昌寿)
・梅雨明けや胸先過ぐるものの影(吉田鴻司)
・青胡桃しなのの空のかたさかな(上田五千石)
・背泳ぎの空のだんだんおそろしく(石田郷子)
7月9日〜12日
・涼しくて空の遠くを見てゐたる(黛 執)
・仲見世の空くれなづみ花鬼灯(山下道子)
・雨降りを林とおもふ月曜日(鴇田智哉)
・朝焼の雲海尾根を溢れ落つ(石橋辰之助)
7月5日〜8日
・水無月や風に吹かれに故郷へ(上島鬼貫)
・浜木綿の香に鳴りいづる星の数(黒田杏子)
・七夕竹空あをあをと暮れにけり(大石悦子)
・夕立の空傾けて妙義山(川崎展宏)
7月1日〜4日
・向日葵の空かがやけり波の群(水原秋桜子)
・夏空へ雲のらくがき奔放に(富安風生)
・もう空を容れず青田となりにけり(富吉 浩)
・仙人の落ちて来さうな合歓の空(松澤雅世)
6月29日〜30日
・咲き満ちて天の簪百日紅(阿部みどり女)
・蛍に暮れねばならぬ空のあり(稲畑汀子)
6月25日〜28日
・黒南風に嫌人癖の亢ずる日(相馬遷子)
・子規の風吹く六月の晴れ間かな(下坂速穂)
・太陽に掲げて選び捕虫網(田中春生)
・水星へ無人探査機枇杷うるる(後藤恵子)
6月21日〜24日
・夕映えは照れやの鬼の「ありがとう」(鎌倉佐弓)
・ありとあるものの梅雨降る音の中(長谷川素逝)
・今年竹空をたのしみはじめけり(大串 章)
・雨の日の一日こぼれ柿の花 (倉田紘文)
6月17日〜20日
・ラムネ飲む空のこくんと鳴りしとき (嵯峨根鈴子)
・落日をたしかめにゆく蝸牛(塩野谷仁)
・さみだれや船がおくるる電話など(中村汀女)
・手にとれば月の雫や夏帽子(泉 鏡花)
6月13日〜16日
・空がある毛虫の明日には空がある(永 六輔)
・南風のおもてをあげてうたふかな (木下夕爾)
・あぢさゐの鞠のかなたの空のこる(柴田白葉女)
・雨がふる恋をうちあけようと思ふ (片山桃史 )
6月9日〜12日
・キッチンの天窓にくる緑雨かな(小西雅子)
・天上も淋しからんに燕子花(鈴木六林男)
・月いでて見えわたりたる梅雨入かな (飯田蛇笏)
・日没のまへの日が差す苔の花(日隈恵里)
6月5日〜8日
・白靴や雲ゆつたりと雲の上(草子洗)
・あけっぱなした窓が青空だ(住宅顕信)
・夜の雲のみづみづしさや雷のあと(原 石鼎)
・短夜や空とわかるる海の色(高井几董)
6月1日〜4日
・大空の吹かれてゐるや青あらし(松瀬青々)
・あっと指さす翡翠は空の色 (白川陽子)
・身をそらす虹の/絶巓/処刑台(高柳重信)
・捩花にすこしななめの雨がふる(村上鞆彦)
5月29日〜31日
・空は我を生みし蒼さや花卯つ木(渡辺水巴)
・鰺刺や空に断崖あるごとし(林 翔)
・いつも日暮アカシアの花仰ぐのは(石田郷子)