(鑑賞・俳句αあるふぁ編集部)
2月1日〜4日
・青空に触れし枝より梅ひらく(片山由美子)
・天上も春遠からず鳶の笛(杓谷多見夫)
・鬼やらひけふ横雲のばら色に(森 澄雄)
・立春の天地朗らか我も亦(室積波那女)
1月25日〜28日
・「おやつくれ」ちと面映ゆし日脚のぶ(上林 暁)
・雪晴れのひたすらあふれたり微笑(富澤赤黄男)
・寒月のすきとほるまで話さうよ(高浦銘子)
・雪片のつれ立ちてくる深空かな(高野素十)
1月21日〜24日
・寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃(加藤楸邨)
・大空に根を張るつららだと思へ(櫂未知子)
・寒雲の燃え尽しては峡を出づ(馬場移公子)
・その大き翼もて雪降らしけむ(対中いずみ)
1月17日〜20日
・寒暁や神の一撃もて明くる(和田悟朗)
・風花の寄り添ふやうに離るるよ(山田佳乃)
・すつくと狐すつくと狐日に並ぶ(中村草田男)
・武蔵野の空大寒の大欅(中路素童)
1月13日〜16日
・ひうひうと風は空ゆく冬ぼたん(上島鬼貫)
・どこにどう立ちても北風を逃れざる(山田閏子)
・あたたかく暮れて月夜や小正月(岡本圭岳)
・空知らず育ち空色龍の玉(檜紀代)
1月9日〜12日
・ラガーらの眼に一瞬の空戻る (阪西敦子)
・冬晴をすひたきかなや精一杯 (川端茅舎)
・戦のあと空が拡がる野の水仙 (森田智子)
・寒天に声湧くジエットコースター (西宮美智子)
1月5日〜8日
・神々の息蒐めたる霧氷かな(染谷彩雲)
・晴天も猶つめたしや寒の入(杉山杉風)
・一点のやがて大鷹あらはるる(伊藤伊那男)
・寒晴やトランペットに映る青(渡邉美保)
1月1日〜4日
・オリオンの盾新しき年に入る(橋本多佳子)
・初夢に翼を思い切り使う(月野ぽぽな)
・人類に空爆のある雑煮かな(関悦史)
・大空に羽子の白妙とどまれり(高浜虚子)
12月29日〜31日
・数へ日の大きな空でありにけり(大牧広)
・行年や夕日の中の神田川(増田龍雨)
・うつくしや年暮きりし夜の空(小林一茶)
12月25日〜28日
・ペンギンと空を見ていたクリスマス(塩見恵介)
・日記買ふ遠くの空の明るくて(河内静魚)
・冬夕焼わが失ひし血のごとく(木下夕爾)
・山上は無垢の青空斧仕舞(古賀まり子)
12月21日〜24日
・気球みな流されてゆく冬の景(津川絵理子)
・山国の虚空日わたる冬至かな(飯田蛇笏)
・白鳥翔ぶ空ある限り人愛す(藤木倶子)
・星空のおくの奥まで聖夜かな(藤本夕衣)
12月17日〜20日
・短日や翼ある人我らを見る(藤岡筑邨)
・一本の樫空刺してわれに棲む(酒井弘司)
・遠山に日の当りたる枯野かな(高浜虚子)
・極月の空青々と追ふものなし(金田咲子)
12月13日〜16日
・天網は冬の菫の匂かな(飯島晴子)
・冬の雨空をあかるくしてはただ(村越 敦)
・荒涼たる星を見守る息白く(野澤節子)
・水鳥に空が近づく薄暮光(渡辺恭子)
12月9日〜12日
・地下鉄に息つぎありぬ冬銀河(小嶋洋子)
・一本の冬木をめがけ夜の明くる(望月 周)
・冬麗のたれにも逢はぬところまで(黒田杏子)
・ことごとく未踏なりけり冬の星(髙柳克弘)
12月5日〜8日
・窓にいま太陽生まる冬林檎(花谷和子)
・尖りたる先は蒼天冬木の芽(白石渕路)
・すぐくらくなる侘助の日暮かな(草間時彦)
・十二月八日の空が井戸の底(櫨木優子)
12月1日〜4日
・大仏の冬日は山に移りけり(星野立子)
・すぢかひのつめたさ空の組み上がる(鴇田智哉)
・冬桜海に日の射すひとところ(岸田稚魚)
・櫂あらば冬青空へ漕ぎ出でむ(嶋田麻紀)
11月29日〜30日
・凩の果はありけり海の音(池西言水)
・空といふ自由鶴舞ひやまざるは(稲畑汀子)
11月25日〜28日
・なかぞらに風は笛吹き冬珊瑚(飴山 實)
・茶の花の白いとしめば曇りけり(徳永夏川女)
・廃駅あり冬の落暉を見るために(永島靖子)
・これやこの冬三日月の鋭きひかり(久保田万太郎)
11月21日〜24日
・見てゐるはいつも裏なり冬の雲(髙勢祥子)
・木の葉舞ふ天上は風迅きかな(太田鴻村)
・青空と荒野を愛し子を抱かず(津沢マサ子)
・冬鷗夕日まぬがれがたく浴び(村上鞆彦)