いきもの歳時記365日

(鑑賞・俳句αあるふぁ編集部)

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    いきもの歳時記365日 NEW

    9月25日〜28日

    ・巣をあるく蜂のあしおと秋の昼(宇佐美魚目)
    ・天高し駝鳥はいつも脱走中 (小林貴子)
    ・みちのくの鮭は醜し吾もみちのく(山口青邨)
    ・秋の蜘蛛息吹きかけてすこし追ふ(森賀まり)

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    9月21日〜24日

    ・鵙鳴いて少年の日の空がある(菊池麻風)
    ・こほろぎに北の夜汽車の匂ひかな(今井 聖)
    ・落鮎や日に日に水のおそろしき(加賀千代女)
    ・放屁虫貯へもなく放ちけり(相島虚吼)

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    9月17日〜20日

    ・色鳥と生まれ何かを失ひぬ(市堀玉宗)
    ・虫の音や私も入れて私たち(野口る理)
    ・蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ(川端茅舎)
    ・野鼬は穂草かざしてをどるなり(五十崎古郷)

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    9月13日〜16日

    ・秋の蛇去れり一行詩のごとく(上田五千石)
    ・鷹柱ずんずん空の深みけり(岸原清行)
    ・釣られざま鱸真紅の口開く(磯 直道)
    ・雄鹿の前吾もあらあらしき息す(橋本多佳子)

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    9月9日〜12日

    ・秋空も摑んでいるか手長猿(あざ蓉子)
    ・あまりにも雀多くて案山子泣く(寺澤一雄)
    ・道玄坂さんま出る頃の夕空ぞ(久米三汀)
    ・いつせいに来て椋鳥の木となりぬ(山川幸子)

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    9月5日〜8日

    ・思ふことかがやいてきし小鳥かな(石田郷子)
    ・頂上や淋しき天と秋燕と(鈴木花蓑)
    ・鯖雲や犬の興味は他の犬(長嶋 有)
    ・草ごもる鳥の眼とあふ白露かな(鷲谷七菜子)

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    9月1日〜4日

    ・肩に来て人懐かしや赤蜻蛉(夏目漱石)
    ・象も蝶も一頭分の涼新た(なつはづき)
    ・ペリカンは秋晴れよりもうつくしい(富澤赤黄男)
    ・かりかりと蟷螂蜂の皃を食む(山口誓子)

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    8月29日〜31日

    ・鈴虫や月のうさぎの眠る頃(山田佳乃)
    ・秋の蚊と互いの運を嘆き合わん(越智友亮)
    ・風立つとこころ浅間へ草雲雀(大石香代子)

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    8月25日〜28日

    ・太刀魚は右向け右とならびおる(行川行人)
    ・嘘も厭さよならも厭ひぐらしも(坊城俊樹)
    ・白馬を少女瀆れて下りにけむ(西東三鬼)
    ・すいつちよん暢気がちやがちや早合点(奥坂まや)

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    8月21日〜24日

    ・石たたきそこは西郷どんの肩(近藤 實)
    ・邯鄲や紙を千年漉く国に(樫本由貴)
    ・曲り家に可愛がられて馬肥ゆる(大橋越央子)
    ・たましひのたとへば秋のほたるかな(飯田蛇笏)

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    8月17日〜20日

    ・電柱に手を触れてゆくいなご捕り (桂 信子)
    ・うつくしや鰯の肌の濃さ淡さ(小島政二郎)
    ・しづかなる力満ちゆき螇蚸飛ぶ(加藤楸邨)
    ・稲びかり猫の喧嘩に割つて入る(仲 寒蟬)

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    8月13日〜16日

    ・鶏たちにカンナは見えぬかもしれぬ(渡辺白泉)
    ・小さくて鉦叩には見えねども(西村麒麟)
    ・夏蚕の座ひろげ玉音聴きたる日(竹内弥太郎)
    ・お尻から腐つて来たる瓜の馬(茨木和生)

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    8月9日〜12日

    ・戦争にたかる無数の蠅しづか(三橋敏雄)
    ・長生きの象を洗ひぬ天の川(桑原三郎)
    ・山の日のゾウリムシつてきらつきら(小川楓子)
    ・鳴きそめしつくつくぼふしいづれ死ぬ(齋藤 玄)

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    8月5日〜8日

    ・握りつぶすならその蟬殻を下さい(大木あまり)
    ・原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫あゆむ(金子兜太)
    ・山繭の手荒きもののうすみどり
    ・秋立つとしきりに栗鼠のわたりけり

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    8月1日〜4日

    ・閑さや岩にしみ入蟬の声(松尾芭蕉)
    ・まくなぎに目鼻まかして牛の貌(清崎敏郎)
    ・飼猫の柄教へあふ夜の秋(津久井健之)
    ・犬の眼の狼光り木下闇(中嶋鬼谷)

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    7月29日〜13日

    ・柔かく女豹がふみて岩灼くる(富安風生)
    ・蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな(芥川龍之介)
    ・野馬追の武者を尻目に放れ駒(行方克巳)

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    7月21日〜24日

    ・天牛の星空の髭長々と(斎藤夏風)
    ・道をしへ一筋道の迷ひなく(杉田久女)
    ・涼風の抜けみちはここ馬繫ぐ(茂木連葉子)
    ・夏深し釣られて空を飛ぶ魚 (澤 好摩)

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    7月25日〜28日

    ・まるまるとゆさゆさとゐて毛虫かな(ふけとしこ)
    ・手に軽く握りて鱚といふ魚 (波多野爽波)
    ・国引の力もて引け兜虫(大谷弘至)
    ・夏帽子駝鳥に求愛ポーズされ(松野苑子)

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    7月17日〜20日

    ・蚊にもよく喰はれ健康優良児(杉原祐之)
    ・梅雨明や牛にお早う樹にお早う(布施伊夜子)
    ・穀象やわれに貧しき戦後あり(岡部六弥太)
    ・日盛や動物園は死を見せず(髙柳克弘)

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    7月13日〜16日

    ・羚羊の水場と知らず岩魚釣(村上喜代子)
    ・羽蟻潰すかたち失ひても潰す(澤田和弥)
    ・魚はみな素顔で泳ぐチェホフ忌(武藤紀子)
    ・朝焼の波飛魚をはなちけり(山口草堂)