(鑑賞・俳句αあるふぁ編集部)
いきもの歳時記365日/12月5日〜8日
・をしどりがたとへばおろかだとしても(櫂未知子)
・魴鮄の美し過ぎる赤さにて(児玉輝代)
・浮寝鳥狸寝入りもありぬべし(高橋悦男)
・昭和衰へ馬の音する夕かな(三橋敏雄)
いきもの歳時記365日/12月1日〜4日
・命あるものは沈みて冬の水(片山由美子)
・ずわい蟹包むローカル新聞紙(駒木根淳子)
・我病みて冬の蠅にも劣りけり(正岡子規)
・梟の鳴く帰らねば帰らねば(今井千鶴子)
11月25日〜28日
・むささびの夜がたりの父わが胸に(佐藤鬼房)
・冬ざれやものを言ひしは籠の鳥(高橋淡路女)
・豚の死を考へてゐる懐手(北大路翼)
・薔薇色の舌を狐も吾も蔵す(山根真矢)
11月21日〜24日
・青空へゆく冬蜂の後ろ脚(山西雅子
・金の糸身にちりばめて金線魚(名和隆志)
・国捨てし少年冬の河馬の前(山下知津子)
・勇魚くる土佐湾晴れてきたりけり(濱田順子)
11月17日〜20日
・羽ひらく孔雀のごとき湯ざめかな(青山茂根)
・山眠る獣は耳を尖らせて(津田このみ)
・海鳴はかの世のこゑぞ暖鳥(馬場龍吉)
・爛々と虎の眼に降る落葉(富澤赤黄男)
11月13日〜16日
・茶の花に兎の耳のさはるかな(加藤暁台)
・にんげんは面白いかと冬の猫(矢島渚男)
・初猟の犬や朝日に耳透きて(河野照子)
・ふぐ釣られ鞠のごとくに弾みけり(寺島ただし)
11月9日〜12日
・初しぐれ猿も小蓑をほしげ也(松尾芭蕉)
・足組めば小春の鳶に親しまる(長谷川秋子)
・木曾のなあ木曾の炭馬並び糞る(金子兜太)
・熊と熊抱き合へばよく眠れさう(遠藤由樹子)
11月5日〜8日
・返り花盲導犬は犬を見ず(津川絵理子)
・羚羊の総身風の突端に(井上弘美)
・浜千鳥用なき時も小走りに(棚山波朗)
・飯店の鸚鵡朗らか冬に入る(能城 檀)
11月1日〜4日
・啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々(水原秋桜子)
・綿虫が飛ぶのんのんと青い空(矢口 晃)
・黄落やはたりはたりと象の耳(小檜山霞)
・なにかゐるやう月の夜の草のなか(今井杏太郎)
10月29日〜31日
・犬とのみ行く場所のあり草紅葉(岡田由季)
・しんちぢり人魚の卵かもしれず(篠崎央子)
・雁や残るものみな美しき(石田波郷)
10月25日〜28日
・フラミンゴ夜は晩秋の色となる(津久井紀代)
・露の玉蟻たぢたぢとなりにけり(川端茅舎)
・魚らは風音知らず十三夜(渡部州麻子)
・谷風も木の葉山女も甲斐路かな(草間時彦)
10月21日〜24日
・猫の墓金魚の墓や秋深し(津久井健之)
・晴れわたる羊まるまる柚子まるまる(遠山陽子)
・鶫死して翅拡ぐるに任せたり(山口誓子)
・霜降の夕べ鯔とぶ出雲かな(脇村禎徳)
10月17日〜20日
・秋鯖の全身青く売られけり(嶋田麻紀)
・蹼の生えてめざめし月夜かな(眞鍋呉夫)
・瓜坊も来よ山の子の祭笛(永島靖子)
・驚きの手足のままに鵙の贄(西宮 舞)
10月13日〜16日
・犬放ちたちまち風の芒原(水原春郎)
・しあわせな木の実まざりし鳥の糞(渋川京子)
・滅びしは朱鷺のみならず島の秋(名和佑介)
・十頭のうち八頭の鹿が見る(阪西敦子)
10月9日〜12日
・体育の日を耳立てて兎たち(辻田克巳)
・寝ころべば若き日の空鬼やんま(成田千空)
・秋夕焼いるかの息は水の匂い(髙勢祥子)
・花鶏来とさわさわと鳴る樫の木よ(木倉フミヱ)
10月5日〜8日
・ななふしのやうにどこかにゐてくれる(小池康生)
・痩馬のあはれ機嫌や秋高し(村上鬼城)
・摘みくれし秋草蟻をこぼしけり(石田郷子)
・みのむしや人として世をものもらひ(常世田長翠)
10月1日〜4日
・鶴の来るために大空あけて待つ(後藤比奈夫)
・瀬田降りて志賀の夕日や江鮭(与謝蕪村)
・草の実の飛んで鰊が蕎麦の上(山口昭男)
・稲雀上機嫌なる日和かな(黒川悦子)
9月29日〜30日
・まんばうは尾びれを忘れ秋うらら(佐々木建成)
・鳥わたるこきこきこきと缶切れば(秋元不死男)
9月25日〜28日
・巣をあるく蜂のあしおと秋の昼(宇佐美魚目)
・天高し駝鳥はいつも脱走中 (小林貴子)
・みちのくの鮭は醜し吾もみちのく(山口青邨)
・秋の蜘蛛息吹きかけてすこし追ふ(森賀まり)