君知るや老が領巾(ひれ)振る東風の朝 (本書より)「領巾振る」とは『万葉集』に出てくる表現で、女性が別れを惜しんで、肩がけの布を振ることを指します。天上の夫は気づいているだろうか、年老いた私が、東風の吹く朝、あなたを思って領巾を振っていることに、という句意です。