1月21日〜24日
・乳与う胸に星雲地に凍河(対馬康子)
・告げざる愛雪嶺はまた雪かさね(上田五千石)
・煖炉灼く夫よタンゴを踊らうか(三橋鷹女)
・寒中の汝に会へばそれでよし(古舘曹人)
1月17日〜20日
・母の死のととのつてゆく夜の雪(井上弘美)
・雪晴や父に抱かれて投函す(野見山ひふみ)
・狸汁吾子還暦となりしかな(栗林千津)
・後の世に逢はば二本の氷柱かな(大木あまり)
1月13日〜16日
・風花や髪に触れては指熱し(小島 健)
・寒昴幼き星をしたがへて(角川照子)
・誰も来よ今日小正月よく晴れし(星野立子)
・もう一度恋をしたいよ寒鴉(前田吐実男)
1月9日〜12日
・汝が胸を雪見舟ともおもひつつ(島田牙城)
・逢ひみてののちの雪搔く日々であり(太田うさぎ)
・一月の山の容を父とせり(斎藤梅子)
・湯豆腐や夫婦といふはをかしきもの(渡辺恭子)
1月5日〜8日
・七人の敵なつかしき初句会(松倉ゆずる)
・愛情は泉のごとし毛糸編む(山口波津女)
・七草や兄弟の子の起きそろひ(炭 太祇)
・水仙の日向に母と居る如く(星野 椿)
1月1日〜4日
・抱擁や初髪惜し気なくつぶす(品川鈴子)
・母方の鼻あつまりて御慶かな(矢野玲奈)
・爺ちやんにもらふ皺くちやお年玉(木田千女)
・初便り皆生きてゐてくれしかな(石塚友二)
12月29日〜31日
・冬帽子父のごとくに古りゆけり(菊池麻風)
・戀といふ字をつくづくと年の暮(石田勝彦)
・除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり(森 澄雄)
12月25日〜28日
・聖しこの夜人の世に人愛し(向田貴子)
・もうゐないけんくわ相手よ雪催(石 寒太)
・数へ日の中に逢瀬を得たりけり(加藤三七子)
・煤逃げの家にも世にも帰り来ず(文挾夫佐恵)
12月21日〜24日
・夫とゐて冬薔薇に唇つけし罪(鷹羽狩行)
・ゆず湯の柚子つついて恋を今している(越智友亮)
・問ひ詰めて人を泣かせし寒さかな(佐野美智)
・リボンかけ終へクリスマスプレゼント(今井千鶴子)
12月17日〜20日
・われの妻みるみるスキーヤーとなる(田中春生)
・ひそやかに女とありぬ年忘(松根東洋城)
・マフラーを巻いてやるすこし絞めてやる(柴田佐知子)
・その恋を断てと狐火あらはるる(仙田洋子)