11月5日〜8日
・画面の君へ消毒液負けの手を振る(佐藤文香)
・汝を帰す胸に木枯鳴りとよむ(藤沢周平)
・冬来れば母の手織りの紺深し(細見綾子)
・未婚一生洗ひし足袋が合掌す(寺田京子)
11月1日〜4日
・老が恋わすれんとすればしぐれかな(与謝蕪村)
・黄落や父を刺さずに二十歳過ぐ(中村安伸)
・母と娘の声がそつくり冬支度(今井つる女)
・人を愛し人に昂り秋の逝く(牧石剛明)
10月29日〜31日
・銀杏散る兄が駈ければ妹も(安住 敦)
・あはれ子の夜寒の床の引けば寄る(中村汀女)
・ハロウィンの魔女に悪魔に母若し(三森鉄治)
10月25日〜28日
・秋深き隣は何をする人ぞ(松尾芭蕉)
・髪に露結ぶまで野を逢ひに行く(野中亮介)
・なほ母をうしなひつづけ霧ぶすま(櫂未知子)
・友の子に友の匂ひや梨しやりり(野口る理)
10月21日〜24日
・父といふしづけさにゐて胡桃割る (上田五千石)
・四人兄弟みな五分刈りや吾亦紅(トオイダイスケ)
・人の手がしづかに肩へ秋日和(鷲谷七菜子)
・ふと子のことを百舌鳥が啼く(種田山頭火)
10月17日〜20日
・秋の暮母さんは叱るだらうか(関根 空)
・抱けば子の熱きはらわた十三夜(鎌田 俊)
・団栗のつぎつぎ生まる子の蒲団(檜山火山)
・大空や男女秋思を語り合はず(澤田和弥)
10月13日〜16日
・誰かれと逢ひたく歩く晩秋よ(清水径子)
・子供の手いつもあたたか紅葉狩(岡田日郎)
・恋ふたつ レモンはうまく切れません(松本恭子)
・椎の実が降るはればれと愛されよ(藤田湘子)
10月9日〜12日
・秋雲一片遺されし父何を為さん(福田蓼汀)
・天高し心に翼もちて子は(大竹多可志)
・万葉の秋の田の歌恋の歌(筑紫磐井)
・秋刀魚焼くいつしか君の妻となり(大高 翔)
10月5日〜8日
・子にみやげなき秋の夜の肩ぐるま(能村登四郎)
・木犀や恋のはじめの丁寧語 (南十二国)
・月光にいのち死にゆくひとと寝る(橋本多佳子)
・柿を見て柿の話を父と祖父 (塩見恵介)
10月1日〜4日
・林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき(寺山修司)
・目のなかに芒原あり森賀まり(田中裕明)
・さびしがりやの師や栗の葉を指に捲き(熊谷愛子)
・月の美しさがわかる人とゐる(杉田菜穂)