4月9日〜12日
・春の雁ゆきてさだまる空のいろ(日美清史)
・無冠なる父へ瞬く春北斗(櫂 未知子)
・アド・バルン揺れあふことも空の春(嶋田洋一)
・紺絣春月重く出でしかな(飯田龍太)
4月5日〜8日
・ぶらんこのとどくところに青い空(和田 桃)
・大いなる春日の翼垂れてあり(鈴木花蓑)
・マンハッタン春燈天へ積み上げし(嶋田一歩)
・雨は野をせつなくさせて梨の花(生駒大祐)
4月1日〜4日
・空をゆく一とかたまりの花吹雪(高野素十)
・燕来る窓から空の見えぬ部屋 (依光陽子)
・青麦にいつ出てみても風があり(右城暮石)
・春嶺の放ちし雲のとどまらず(保坂伸秋)
3月 29日〜31日
・うららかや泣虫小僧抱いて出づ(村山古郷)
・蘖や愛は左右の頰打たす(有馬朗人)
・生涯を恋にかけたる桜かな(鈴木真砂女)
3月 25日〜28日
・春のゆふべは母の辺にあるごとし(黛 執)
・ロボットも博士を愛し春の草(南十二国)
・夜桜やひとは一人のために生き(行方克巳)
・臨終の子のありがたう春みぞれ(細谷喨々)
3月 21日〜24日
・卒業す片恋少女鮮烈に(加藤楸邨)
・ジーンズの穴が自慢よ春休み(関口恭代)
・からつぽの春の古墳の二人かな(夏井いつき)
・辛夷の痛い白さ他人の夫掠め(田邊香代子)
3月17日〜20日
・春の暮老人と逢ふそれが父(能村研三)
・人妻ぞいそぎんちやくに指入れて(小澤 實)
・春の夜のつめたき掌なりかさねおく(長谷川素逝)
・君きつと照葉樹林春の雨(田中亜美)
3月13日〜16日
・風神の恋の吐息や春一番(大輪靖宏)
・遺伝子は母に受け継ぎ落第す(稲畑廣太郎)
・涅槃図の皆泣いてゐてあたたかし(阿部月山子)
・鷹鳩と化すや嫌はれてもいいや(矢口 晃)
3月9日〜12日
・人待ちて春の欅にもたれをり(山本洋子)
・用なくて二階へ母の来る日永(吉田成子)
・双子なら同じ死顔桃の花(照井 翠)
・つばな野や兎のごとく君待つも(小池文子)
3月5日〜8日
・啓蟄や兄の潜艦浮上せず(相原左義長)
・家出づる子に春風を持たせけり(橋本榮治)
・愛重たし死して開かぬ蝶の翅(中村苑子)
・まゆはき草火花ちらしぬあねいもと(高岡すみ子)