愛の歳時記365日

  • いきもの歳時記365日
    いきもの歳時記365日

    8月13日〜16日

    ・鶏たちにカンナは見えぬかもしれぬ(渡辺白泉)
    ・小さくて鉦叩には見えねども(西村麒麟)
    ・夏蚕の座ひろげ玉音聴きたる日(竹内弥太郎)
    ・お尻から腐つて来たる瓜の馬(茨木和生)

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    いきもの歳時記365日

    8月9日〜12日

    ・戦争にたかる無数の蠅しづか(三橋敏雄)
    ・長生きの象を洗ひぬ天の川(桑原三郎)
    ・山の日のゾウリムシつてきらつきら(小川楓子)
    ・鳴きそめしつくつくぼふしいづれ死ぬ(齋藤 玄)

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    いきもの歳時記365日

    8月5日〜8日

    ・握りつぶすならその蟬殻を下さい(大木あまり)
    ・原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫あゆむ(金子兜太)
    ・山繭の手荒きもののうすみどり
    ・秋立つとしきりに栗鼠のわたりけり

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    いきもの歳時記365日

    8月1日〜4日

    ・閑さや岩にしみ入蟬の声(松尾芭蕉)
    ・まくなぎに目鼻まかして牛の貌(清崎敏郎)
    ・飼猫の柄教へあふ夜の秋(津久井健之)
    ・犬の眼の狼光り木下闇(中嶋鬼谷)

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    いきもの歳時記365日

    7月29日〜13日

    ・柔かく女豹がふみて岩灼くる(富安風生)
    ・蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな(芥川龍之介)
    ・野馬追の武者を尻目に放れ駒(行方克巳)

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    7月21日〜24日

    ・天牛の星空の髭長々と(斎藤夏風)
    ・道をしへ一筋道の迷ひなく(杉田久女)
    ・涼風の抜けみちはここ馬繫ぐ(茂木連葉子)
    ・夏深し釣られて空を飛ぶ魚 (澤 好摩)

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    7月25日〜28日

    ・まるまるとゆさゆさとゐて毛虫かな(ふけとしこ)
    ・手に軽く握りて鱚といふ魚 (波多野爽波)
    ・国引の力もて引け兜虫(大谷弘至)
    ・夏帽子駝鳥に求愛ポーズされ(松野苑子)

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    7月17日〜20日

    ・蚊にもよく喰はれ健康優良児(杉原祐之)
    ・梅雨明や牛にお早う樹にお早う(布施伊夜子)
    ・穀象やわれに貧しき戦後あり(岡部六弥太)
    ・日盛や動物園は死を見せず(髙柳克弘)

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    7月13日〜16日

    ・羚羊の水場と知らず岩魚釣(村上喜代子)
    ・羽蟻潰すかたち失ひても潰す(澤田和弥)
    ・魚はみな素顔で泳ぐチェホフ忌(武藤紀子)
    ・朝焼の波飛魚をはなちけり(山口草堂)

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    7月9日〜12日

    ・みみずももいろ土の愉しき朝ぐもり(柴田白葉女)
    ・森涼し裸婦とライオンは眠り(前川弘明)
    ・枝になりきりし尺蠖糞こぼす(加藤瑠璃子)
    ・ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ(田島健一)

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    いきもの歳時記365日

    7月5日〜8日

    ・泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む(永田耕衣)
    ・山蛭の言い分も聞こうではないか(宇多喜代子)
    ・子を追つて蟻の国まで来てしまふ(明隅礼子)
    ・鵺鳴くや退きどき死に際ぬかりあるな(平井さち子)

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    いきもの歳時記365日

    7月1日〜4日

    ・潮の香へ開く改札夏つばめ(奥名春江)
    ・金粉をこぼして火蛾やすさまじき(松本たかし)
    ・山晴るる日は呼び合ひて四十雀(中島畦雨)
    ・舟虫の逃げに徹せし一生かな(三村純也)

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    6月29日〜30日

    ・子を肩に載せて歩けば青葉木菟(福永耕二)
    ・小さな鳥になつて茅の輪をくぐりけり(井越芳子)

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    6月25日〜28日

    ・梅雨の犬で氏も素性もなかりけり(安住 敦)
    ・音楽漂う岸侵しゆく蛇の飢(赤尾兜子)
    ・とうすみはこの傾きの家が好き(山口昭男)
    ・狂ほしき犬の挨拶アマリリス(津川絵理子)

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    6月21日〜24日

    ・廃校にゐつきてをりし蝮かな(茨木和生)
    ・武者返しまで達したるなめくぢら(杉原祐之)
    ・遠い遠い慈悲心鳥と思はるる(松澤 昭)
    ・ベラの海大きな他人と並ぶかな(宇多喜代子)

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    6月17日〜20日

    ・あめんぼの耳うちしては弾けけり(山本良明)
    ・白鷺の風を抱へて降りにけり(西山 睦)
    ・かたつぶり角ふりわけよ須磨明石(松尾芭蕉)
    ・見えかくれ居て花こぼす目白かな(富安風生)

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    6月13日〜16日

    ・葭切や葭まつさをに道隠す(村上鞆彦)
    ・こんなにも大きな波へ亀の子は(高畑浩平)
    ・時鳥厠半ばに出かねたり(夏目漱石)
    ・露地裏を夜汽車と思ふ金魚かな(攝津幸彦)

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    6月9日〜12日

    ・青蛙おのれもペンキぬりたてか(芥川龍之介)
    ・ちやぐちやぐ馬こ飾らぬ馬のかがやけり(戸塚時不知)
    ・郭公の声のあけくれ吾子育つ(木村蕪城)
    ・落し文ひらきて罪をひとつ負ふ(大橋敦子)

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    いきもの歳時記365日

    6月日5日〜8日

    ・今度こそ筒鳥を聞きとめし貌(飯島晴子)
    ・雨の階段あたらしくぶんぶんが死ぬ(今泉礼奈)
    ・比ぶるなかれ一八と犬の舌(島田牙城)
    ・するすると岩をするすると地を蜥蜴(山口誓子)

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    6月1日〜4日

    翅わつててんたう虫の飛びいづる(高野素十)
    トタン屋根の上で崩れるまで孔雀(田中亜美)
    蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな(高浜虚子)
    うまれた家はあとかたもないほうたる(種田山頭火)