12月25日〜28日
・ペンギンと空を見ていたクリスマス(塩見恵介)
・日記買ふ遠くの空の明るくて(河内静魚)
・冬夕焼わが失ひし血のごとく(木下夕爾)
・山上は無垢の青空斧仕舞(古賀まり子)
12月21日〜24日
・気球みな流されてゆく冬の景(津川絵理子)
・山国の虚空日わたる冬至かな(飯田蛇笏)
・白鳥翔ぶ空ある限り人愛す(藤木倶子)
・星空のおくの奥まで聖夜かな(藤本夕衣)
12月17日〜20日
・短日や翼ある人我らを見る(藤岡筑邨)
・一本の樫空刺してわれに棲む(酒井弘司)
・遠山に日の当りたる枯野かな(高浜虚子)
・極月の空青々と追ふものなし(金田咲子)
12月13日〜16日
・天網は冬の菫の匂かな(飯島晴子)
・冬の雨空をあかるくしてはただ(村越 敦)
・荒涼たる星を見守る息白く(野澤節子)
・水鳥に空が近づく薄暮光(渡辺恭子)
12月9日〜12日
・地下鉄に息つぎありぬ冬銀河(小嶋洋子)
・一本の冬木をめがけ夜の明くる(望月 周)
・冬麗のたれにも逢はぬところまで(黒田杏子)
・ことごとく未踏なりけり冬の星(髙柳克弘)
12月5日〜8日
・窓にいま太陽生まる冬林檎(花谷和子)
・尖りたる先は蒼天冬木の芽(白石渕路)
・すぐくらくなる侘助の日暮かな(草間時彦)
・十二月八日の空が井戸の底(櫨木優子)
12月1日〜4日
・大仏の冬日は山に移りけり(星野立子)
・すぢかひのつめたさ空の組み上がる(鴇田智哉)
・冬桜海に日の射すひとところ(岸田稚魚)
・櫂あらば冬青空へ漕ぎ出でむ(嶋田麻紀)
11月29日〜30日
・凩の果はありけり海の音(池西言水)
・空といふ自由鶴舞ひやまざるは(稲畑汀子)
11月25日〜28日
・なかぞらに風は笛吹き冬珊瑚(飴山 實)
・茶の花の白いとしめば曇りけり(徳永夏川女)
・廃駅あり冬の落暉を見るために(永島靖子)
・これやこの冬三日月の鋭きひかり(久保田万太郎)
11月21日〜24日
・見てゐるはいつも裏なり冬の雲(髙勢祥子)
・木の葉舞ふ天上は風迅きかな(太田鴻村)
・青空と荒野を愛し子を抱かず(津沢マサ子)
・冬鷗夕日まぬがれがたく浴び(村上鞆彦)
11月17日〜20日
・しぐれふるみちのくに大き仏あり(水原秋桜子)
・白日は我が霊なりし落葉かな(渡辺水巴)
・八つ手咲き夜も青々と天ありぬ(菖蒲あや)
・こぼれては風拾ひ行鵆かな(加賀千代女)
11月13日〜16日
・綿虫の夕空毀れやすきかな (佐藤鬼房)
・帰り花空は風音もて応ふ (廣瀬直人)
・七五三石段天に到りけり (野口里井)
・柊咲くいつからを夕暮れと呼ぶ(塩野谷仁)
11月9日〜12日
・玉の如き小春日和を授かりし(松本たかし)
・また空を噴煙とほる枇杷の花(大岳水一路)
・昇る陽の色となりつつ尾白鷲(渡辺和弘)
・雲一つ置かぬ空なり猟銃音(鈴木厚子)
11月5日〜8日
・日が射して山かるくなる神無月(中尾寿美子)
・黄落期星のひとつに我ら棲み(岡本差知子)
・屋上のここからが空冬が来る(遠藤由樹子)
・青空や神も蜜柑も八百萬(山本紫黄)
11月1日〜4日
・夜空には数ふる星よすぐ冬よ(高木晴子)
・ペルシアより空を飛び来し大絨毯(有馬朗人)
・空はみささぎ花鶏など居させむ(飯島晴子)
・君んちの毛布をめくったら夜空(神野紗希)
10月29日〜31日
・とろとろと冬の近づく曇り空(日美清史)
・水くらくあをぞらうつす松ぼくり(堀下翔)
・秋惜む神を恐れぬ高さより(今橋眞理子)
10月25日〜28日
・青空の押し移りゐる紅葉かな(松藤夏山)
・秋嶺となりておのおの天に帰す(太田 嗟)
・あをぞらのつめたくなりし秋燕忌(神蔵 器)
・コーヒ店永遠に在り秋の雨(永田耕衣)
10月21日〜24日
・手鏡やみ空の鵯の声を追ひ(川端茅舎)
・金木犀耳空つぽに晴れわたり(宮地英子)
・松手入して青空もかたち佳し(横澤放川)
・銀杏にちりぢりの空暮れにけり(芝不器男)
10月17日〜20日
・によつぽりと秋の空なる富士の山(上島鬼貫)
・一痕は大空にあり鵙の贄(柿本多映)
・江戸の空東京の空秋刀魚買ふ(摂津幸彦)
・大空の雲はちぎれて秋祭(前田普羅)
10月13日〜16日
・吾亦紅風が持ち去る日月よ(渡辺桂子)
・雁の声のしばらく空に満ち(高野素十)
・干烏賊に島の日照雨のいくたびも(清崎敏郎)
・月下の宿帳/先客の名はリラダン伯爵(高柳重信)