7月5日〜8日
・泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む(永田耕衣)
・山蛭の言い分も聞こうではないか(宇多喜代子)
・子を追つて蟻の国まで来てしまふ(明隅礼子)
・鵺鳴くや退きどき死に際ぬかりあるな(平井さち子)
7月1日〜4日
・潮の香へ開く改札夏つばめ(奥名春江)
・金粉をこぼして火蛾やすさまじき(松本たかし)
・山晴るる日は呼び合ひて四十雀(中島畦雨)
・舟虫の逃げに徹せし一生かな(三村純也)
6月25日〜28日
・梅雨の犬で氏も素性もなかりけり(安住 敦)
・音楽漂う岸侵しゆく蛇の飢(赤尾兜子)
・とうすみはこの傾きの家が好き(山口昭男)
・狂ほしき犬の挨拶アマリリス(津川絵理子)
6月21日〜24日
・廃校にゐつきてをりし蝮かな(茨木和生)
・武者返しまで達したるなめくぢら(杉原祐之)
・遠い遠い慈悲心鳥と思はるる(松澤 昭)
・ベラの海大きな他人と並ぶかな(宇多喜代子)
6月17日〜20日
・あめんぼの耳うちしては弾けけり(山本良明)
・白鷺の風を抱へて降りにけり(西山 睦)
・かたつぶり角ふりわけよ須磨明石(松尾芭蕉)
・見えかくれ居て花こぼす目白かな(富安風生)
6月13日〜16日
・葭切や葭まつさをに道隠す(村上鞆彦)
・こんなにも大きな波へ亀の子は(高畑浩平)
・時鳥厠半ばに出かねたり(夏目漱石)
・露地裏を夜汽車と思ふ金魚かな(攝津幸彦)
6月9日〜12日
・青蛙おのれもペンキぬりたてか(芥川龍之介)
・ちやぐちやぐ馬こ飾らぬ馬のかがやけり(戸塚時不知)
・郭公の声のあけくれ吾子育つ(木村蕪城)
・落し文ひらきて罪をひとつ負ふ(大橋敦子)
6月日5日〜8日
・今度こそ筒鳥を聞きとめし貌(飯島晴子)
・雨の階段あたらしくぶんぶんが死ぬ(今泉礼奈)
・比ぶるなかれ一八と犬の舌(島田牙城)
・するすると岩をするすると地を蜥蜴(山口誓子)
6月1日〜4日
翅わつててんたう虫の飛びいづる(高野素十)
トタン屋根の上で崩れるまで孔雀(田中亜美)
蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな(高浜虚子)
うまれた家はあとかたもないほうたる(種田山頭火)