4月21日〜24日
・雀の子一尺とんでひとつとや(長谷川双魚)
・啜り泣く浅蜊のために灯を消せよ(磯貝碧蹄館)
・裏がへる亀思ふべし鳴けるなり(石川桂郎)
・蝶よ川の向こうの蝶は邪魔ですか(池田澄子)
4月17日〜20日
・留守番の文鳥に摘むはこべらを(髙田正子)
・面白や馬刀の居る穴居らぬ穴(正岡子規)
・まばたきの子象よ春はこそばいか(神野紗希)
・よこたへて金ほのめくや桜鯛(阿波野青畝)
4月13日〜16日
・真つ青な雨降り春蚕めざめけり(中尾公彦)
・寄居虫が抱へて測る次の貝(須川洋子)
・鶯のいちぶ始終のやさしさよ(後藤夜半)
・鳥の巣に鳥が入つてゆくところ(波多野爽波)
4月9日〜12日
・くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手(加藤楸邨)
・九官鳥同士は無口うららけし(望月 周)
・けふ虻の強き翅音を味方とす(今野福子)
・とぶ鶉鼠の昔忘るるな(小林一茶)
4月5日〜8日
・水替へて清明の日の小鳥籠(星野麥丘人)
・蟲鳥のくるしき春を無為(高橋睦郎)
・乗込の鮒に堤の高かりき(鈴木厚子)
・川底に蝌蚪の大国ありにけり(村上鬼城)
4月1日〜4日
・恋語る魚もあるべし春の海(佐藤春夫)
・うれしさの狐手を出せ曇り花(原 石鼎)
・蠅生れ早や遁走の翅使ふ(秋元不死男)
・春の駒東風にあらがふごと歩む(皆川盤水)
3月25日〜24日
・春暁や人こそ知らね木々の雨(日野草城)
・はくれんの花の占めたる夜空あり(千代田葛彦)
・一天を見据ゑてをりぬ落椿(山川幸子)
・チチポポと鼓打たうよ花月夜(松本たかし)
3月21日〜24日
・耕耘機遠きは空を耕すや(辻田克巳)
・龍天に登り赤子に蹴る力(前田攝子)
・春三日月近江は大き闇を持つ(鍵和田秞子)
・球春や青春いつも雲ひとつ(塩見恵介)
3月17日〜20日
・天上にちちはは磯巾着ひらく(鳥居真里子)
・戦争と戦争の間の朧かな(堀田季何)
・種選るや野を吹き覚ます風の音(西村信男)
・蒲公英に寝て見る空の広さかな(長谷川零余子)