5月25日〜28日
・目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹 (寺山修司)
・胃の中に入りて虎魚のにらみゐる(宮坂静生)
・見失ふ雪加の声の残りをり(松田美子)
・蛇の衣草の雫に染まりけり(巌谷小波)
5月21日〜24日
・明易の鯨のこゑといふがやさし(中田 剛)
・河鹿鳴く中に瀬音はゆくばかり(皆吉爽雨)
・袋角夕陽を詰めてかへりゆく(澁谷 道)
・ががんぼが墜ちるテレビと壁の間(星野恒彦)
5月17日〜20日
・孵らざるものの声する青蘆原(大石悦子)
・青大将に生れ即刻殺たれたし(宮入 聖)
・後朝のおほきな毛虫みて帰る(榮 猿丸)
・草かげろふ夜をみづみづしくしたり(小島 健)
5月13日〜16日
・鸚鵡籠提げて水夫や初夏の街(安田北湖)
・雨しとど流されまいぞ目高の子(高木晴子)
・青嵐雀の喧嘩空へ地へ(神蛇 広)
・水揚げの鯖が走れり鯖の上(石田勝彦)
5月9日〜12日
・揚羽追ふこころ揚羽と行つたきり(髙柳克弘)
・愛鳥日たまごボーロをお茶うけに(本多遊子)
・逍遥遊虚々々々々々と夏鶯(小林貴子)
・天使魚の愛うらおもてそして裏(中原道夫)
5月5日〜8日
・雀らも海かけて飛べ吹流し(石田波郷)
・かはほりは火星を逐はれ来しけもの(三橋鷹女)
・翡翠の影こんこんと溯り(川端茅舎)
・人間も山椒魚も愉快なり(杉田菜穂)
5月1日〜4日
・鳩踏む地かたくすこやか聖五月(平畑静塔)
・小瑠璃飛ぶ選ばなかつた人生に(野口る理)
・はるかなる松蟬をきく静かさよ(五十嵐播水)
・盲導犬にこにこ歩くみどりの日(こしのゆみこ)
4月25日〜28日
・公達に狐化けたり宵の春(与謝蕪村)
・毛を剪りし羊あの足の立上がり(依田明倫)
・つじかぜやつばめつばくろつばくらめ(日夏耿之介)
・雉鳴けりラテン語ゼミのたけなはに(柏原眠雨)