7月25日〜28日
・麦藁帽ひとつぐらゐは雲欲しき(大牧 広)
・西日照りいのち無惨にありにけり(石橋秀野)
・鯖鮨に雨うつくしき近江かな(皆川盤水)
・天日のふるえや空蟬のなかの洞(石牟礼道子)
7月21日〜24日
・雲の峰上手に死んでやらうかな(栗林千津)
・紅蓮天上をいま櫂の音(九鬼あきゑ)
・一天に鳥を許さぬ暑さかな(櫛部天思)
・全天の夕焼皿をあらふなり(小澤 實)
7月17日〜20日
・打ち水の潦に匂ふ空の青(竹久夢二)
・帰らざるものばかり見え夏の雨(渡辺誠一郎)
・白南風やマストにかはるがはる鳥(土肥あき子)
・天皇の白髪にこそ夏の月(宇多喜代子)
7月13日〜16日
・泣けば雨笑へばダリヤをどりくる(岩田昌寿)
・梅雨明けや胸先過ぐるものの影(吉田鴻司)
・青胡桃しなのの空のかたさかな(上田五千石)
・背泳ぎの空のだんだんおそろしく(石田郷子)
7月9日〜12日
・涼しくて空の遠くを見てゐたる(黛 執)
・仲見世の空くれなづみ花鬼灯(山下道子)
・雨降りを林とおもふ月曜日(鴇田智哉)
・朝焼の雲海尾根を溢れ落つ(石橋辰之助)
7月5日〜8日
・水無月や風に吹かれに故郷へ(上島鬼貫)
・浜木綿の香に鳴りいづる星の数(黒田杏子)
・七夕竹空あをあをと暮れにけり(大石悦子)
・夕立の空傾けて妙義山(川崎展宏)
7月1日〜4日
・向日葵の空かがやけり波の群(水原秋桜子)
・夏空へ雲のらくがき奔放に(富安風生)
・もう空を容れず青田となりにけり(富吉 浩)
・仙人の落ちて来さうな合歓の空(松澤雅世)
6月25日〜28日
・黒南風に嫌人癖の亢ずる日(相馬遷子)
・子規の風吹く六月の晴れ間かな(下坂速穂)
・太陽に掲げて選び捕虫網(田中春生)
・水星へ無人探査機枇杷うるる(後藤恵子)
6月21日〜24日
・夕映えは照れやの鬼の「ありがとう」(鎌倉佐弓)
・ありとあるものの梅雨降る音の中(長谷川素逝)
・今年竹空をたのしみはじめけり(大串 章)
・雨の日の一日こぼれ柿の花 (倉田紘文)