俳誌「円虹」

月刊誌。平成7年1月、神戸で山田弘子が創刊。師系・稲畑汀子。自然を讃えること、日本語を磨くこと、伝統性と現存性の調和。

〈主宰〉山田佳乃

■10月号の誌面から

生身魂方程式をすらすらと(山田佳乃)

夏草の野や赤岳の迫り来る(田中祥子)

煽られて滝一枚の布となる(木村恭子)

釣糸に絡む海月の重さかな(宮尾正信)

 

山田佳乃主宰の散文「海光抄」は「虚子『俳談』から」。高浜虚子『俳談』(岩波文庫)を興味深く読んでいるといい、選句するたびに一句ごとに向き合って是非を判断するという虚子の選句法について「エネルギーがいる」とし、「到底及ばないかもしれないが、選句するうえで心しておきたい一事である」と述べる。

椋誠一朗「椋みづな、母のこと」は前号で紹介した父・砂東に続いて母・みづなの人生をデッサンしたもの。奉職先の学校長の勧めで昭和4年、22歳の時に『ホトトギス』への投句を開始したみづなは、山陰地方の女性俳人として次第に知られるようになり、ラジオ出演や新聞俳壇の選者を務めたという。〈檻の猿雪解雫に手を出せる みづな〉。