俳誌「澤」

月刊誌。平成12年4月、小澤實が東京で創刊。実作・研究をとおして俳句の本質を探究する。詩文学芸への目配りも忘れない。

〈主宰〉小澤 實

■10月号の誌面から

弁当にはた鋤焼ぞ肉(しし)やはら(小澤實)

色鳥を騙し絵にしてもみぢ山(高橋睦郎)

あめんぼの集る死蜂や藻にかかり(森永一正)

生物部の蛇が逃げたといふ噂(大堀柔)

 

根岸哲也「詩文学芸書を読む」は木村衣有子のエッセイ『家庭料理の窓』を取り上げる。「日本の家庭料理を紐解くにあたり、古今東西の本を参照している」といい、取り上げられる書名も縦横に引用しながら、本書の目配りの幅広さを伝える。

今朝「総合誌俳句鑑賞」は「俳句」「俳壇」各8月号が対象。青山茂根〈薬莢と木の実の並ぶ墓標かな〉に対して「その物質としての役割や質感の違いは元より、供物として「薬莢」を選ぶ心、「木の実」を選ぶ心の相容れ難さを思う」とし、「死者を思うそれぞれの気持ちの尊さに、一縷の望みを託すばかりである」と結ぶ。