俳誌「澤」

月刊誌。平成12年4月、小澤實が東京で創刊。実作・研究をとおして俳句の本質を探究する。詩文学芸への目配りも忘れない。

〈主宰〉小澤 實

■11月号の誌面から

堂出でて屍花野にあそぶかな(小澤實)

谷町の空まだ暗し霜迷ふ(高橋睦郎)

正座して野分の様を眺めをり(山口方眼子)

野分晴欅の小枝掃き始む(笠井たかし)

 

「澤集巻頭作家インタビュー」は6月号で入会し、9月号で早くも巻頭を得た奥井健太。主宰には〈ゲーム機のディスク取り出す裸のまま〉が評価された。20歳になった大学1年生。榮猿丸や「澤」時代の藤田哲史に衝撃を受け、入会を決めたという。

高橋睦郎の連載「季語練習帳」は「霜」。もっとも鮮烈な霜の記憶は昭和45年11月20日、勤め先のラジオが三島由紀夫の自衛隊乱入を告げた日のことだという。三島と交流があった高橋は上司・同僚の黙認のもとオフィスを飛び出して地下鉄で四谷三丁目へ。「地上に出て曙橋方面に向う道の側溝に霜解水がきらきらと美しかったのを、半世紀以上を経過した今も忘れない」。