俳誌「鷹」

〈沿革〉月刊誌。昭和39年、水原秋桜子門の藤田湘子が中心となって創刊、同43年に主宰制になる。同58年から三年間継続した主宰の〈一日十句〉や、二物衝撃の重視を掲げた平成8年の第二次「鷹」発足宣言は、俳壇に刺激を与えた。ロングセラーとなった『20週俳句入門』(昭和63年)の著書もある湘子の元からは飯島晴子をはじめとして多くの俳人が登場した。平成17年、湘子の逝去に伴って編集長の小川軽舟が主宰を継承、編集長は髙柳克弘に交代し、後継体制の若さが話題になった。

〈主宰〉小川軽舟

■11月号の誌面から

枝豆や人手に渡り店残る(小川軽舟)

葉書より封書うれしき文月かな(布施伊夜子)

山小屋の未明の活気嗽ぐ(黒澤あき緒)

風呂をたく杉つぱの煙(けむ)法師蟬(藤澤憼子)

 

兼城雄の俳句時評は「季重なりと季語の過剰」。季重なりの句が多い岸本尚毅の新句集『雲は友』を取り上げ、季重なりが引き起こす主題の分裂が、従来の季語的世界とは乖離した現代を詠むヒントともなりうることを論じる。

エッセイは堀切克洋(「銀漢」)「神様は亀だから」。アキレスと亀のパラドックスを引き合いに出し、「遅れる」という概念について考察する。

関西支部の重鎮だった山本良明が死去。過去の作品や追悼文が掲載されている。〈これ父の羅漢落花に眼を細く 良明〉〈駅そばや団扇のお夏清十郎 同〉。